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民俗芸能に関する法律のお勉強その2

●おまつり法
「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光
及び特定地域商工業の振興に関する法律」
 平成4年(1992)制定

 この法律では、「民俗芸能」または「無形民俗文化財」という語が使用されていない。
これらの語に代わって「地域伝統芸能」という語が使われており、これは「地域の民衆の
中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を反映した伝統的な芸能及び
風俗慣習」(第2条)とされている。
「無形民俗文化財」や「民俗芸能」が、「民俗」を根とした語であるのに対し、この名称は
「地域」が重視されているようだ。
さらに、この法ではこれら「地域伝統芸能」の「活用行事」によって、地域社会を活性化
させるということがテーマであり、その趣旨に合う行事に対して補助金を出すという
内容なのである。その「活用行事」とは、「観光及び特定地域商工業の振興を目的として実施される行事」
(第2条)を指す。つまり、これは民俗芸能を観光資源として、地域の商工業の振興を促す材料にしよう、という法律なのである。それはこれまでの民俗芸能を保存するための
文化財保護法とは大きく違う民俗芸能の捉え方である。
 この「おまつり法」が制定された直後は、民俗芸能の研究者の多くが、この法律に対して、
商業目的で芸能が変化することを危惧し、批判的であった。ー略ー
 しかし、研究者がいくらこの法律に対して危惧しても、地域共同体は、
自分たちの民俗芸能を後継者に悩みながらもそのまま保存し、
一部の研究者に「我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」
として鑑賞されるよりも、人受けのする、若者や新しくその土地に移り住んだ人々にも
参加できるような活気あるものに変えたいと思うだろう。ー略ー
おまつり法は文化財保護法のような研究者や国にとって価値があるものを支援する
のではなく、あくまで地域共同体の住民生活に直接かかわる現実的な法であるといえる。
 文化庁は、HPで、民俗芸能を保存するといっている一方で、「継承・発展」させていく
とも述べている。
 「発展」と「保存」は矛盾してしまうのではないだろうか。
やはり、おまつり法との折り合いをつけていく中で、ここへきて文化財保護法における
民俗芸能の「保存」には無理が出てきているのだと思われる。ー略ー
 研究者や文化庁のもとめているような芸能は、必ずしも地元の人々がもとめている
芸能ではないかもしれず、また地元の人たちのもとめている義慧能は観光客だけでなく
研究者のことばに影響されたのかもしれない。
 このような問題は実際に芸能の行われている場に行き、その土地の人が民俗芸能についてどう考えているかを探らなければ見えてこないだろう。

以上一部抜粋・要約『民俗芸能の「保存」と「展開」 』三橋はるな

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冬支度まっしぐら:里芋をいける穴をひたすら掘るイケヒロ父ちゃん、すごい形相。
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豊作すぎる大根を切干大根に。
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葉は風呂に(あたたまる)
by hiysalah008 | 2005-11-19 19:56 | お茶大&お勉強


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